人物の巻 · NO. 003
孟婆
孟婆
一椀の湯で、前の生の記憶に別れを。
忘却をつかさどる · 転生の案内役中国の民間信仰
生まれ変わる前の一椀
孟婆は、転生する魂に前世を忘れさせる湯を振る舞う存在です。今では奈何橋のそばで鍋を構える、穏やかな老女の姿がよく知られています。中心にあるのは処罰ではなく、記憶や執着を手放して次の生へ向かうという想像です。
時代とともに育った神
宋代の詩詞に見える孟婆は、もともと風を指す呼び名でした。明末から清初の小説で人を惑わせる飲食と結びつき、勧善書『玉暦宝鈔』が忘却の台での役割を詳しく整えます。同書の「漢代に生まれた」という来歴は宗教的な物語で、実在人物の伝記ではありません。孟姜女と同一視する話や恋人を待ち続けたという現代の筋書きも、別の時代の伝承です。橋、湯、老女の姿を一式として上古の経典へさかのぼらせることはできません。
万霊に出会ったら、次はあなたの物語。
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